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放送作家部

テレビ番組では私たちが日常でよく目にする光景や出来事から企画が生まれたりすることがよくある。日常から企画が生まれるとはどういうことなのか?それはどのようにして作られているのか?これを読めば日常から企画を考える方法がわかる。

まず日常によくある光景からできた企画の例をあげてみよう。
昔ある番組に、子離れがどうしてもできない母親から、日本一周の旅に出てしまった息子に会いたいという依頼が届いたのだ。この依頼を番組としておもしろくするために、どのようにして息子と母親を上手く再会せたら企画として成り立つのか制作者は考え、ある方法を思いついた。ある街の駅で息子が寝泊まりしているのという情報を掴んでいたので、架空の番組を作り、ウサギの着ぐるみの中に母親を入れて息子が寝泊まりしている駅にレポートしに行かせたのだ。案の定息子は駅にいた。そして番組側の思惑通り架空の番組の取材を受けることになったのだ。レポート中、息子はまさか中に母親が入っているとは知らずに抱きついてくる着ぐるみとじゃれ合っていた。しばらくして母親が入っている着ぐるみの中の音声を上げてみると、半年ぶりぐらいに会えた喜びからか母親の泣いている声が聞こえてきた。しかしテレビ画面では着ぐるみとじゃれ合っている青年の姿が映し出されている。このギャップのある光景が観ている視聴者に笑いを与えたのだ。“久々に息子に会うと親は感動する”という光景も、このようにちょっと工夫することで新しい企画が生まれる。

もう一つ例に挙げると、昔「ココリコミラクルタイプ」とういう番組で、こういうコントがあった。夫の浮気を疑う妻が、夫がお風呂に入っている間に、勇気を振り絞り、夫の携帯電話を盗み見てしまう。するとそこには”ボブ・サップ”と登録された名前の着信があった。それを見た妻は夫が浮気をしていると確信した。そして、その着信の相手におそるおそる電話をかけようとした。でも、知らない女の人がもし電話に出たてしまったらそこで夫婦関係は終わってしまうのではないか、そんなことを考えながら意を決して妻は“ボブ・サップ”に電話をかけてみた。すると…「RRRRRR(着信音)」。なんと自分の携帯電話が鳴ったのだ。実は、このコントは視聴者から送られてきた投稿の時点では「主人が私のことを携帯にボブ・サップと登録していた」という一行のメールだった。この一行に”浮気”というエッセンスを加えることで夫婦関係がドラマチックに演出されコントの企画として成立したのだ。

テレビ番組の会議では企画を考えるとき、みんなが色んなアイデアをどんどん言っていき、それをADさんが板書し、出てきた多数のアイデアの中からキリッと光ったものを見つけ、それをさらにみんなで磨いていく。そんな作業が行われている。放送作家部という活動の場でも日常にある原石を見つけそれを磨いていき、今までになおもしろい企画を生み出していければいいなと思う。