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放送作家部

毎回、高いクオリティのアイディアを「閃き」や「センス」に頼って出し続ける事は不可能である。では、クオリティの高いアイディアを出し続けるには何か方法があるのだろうか?ここでは、「アングル」という考え方を学んで、多くの企画の生み出し方を身につける。

「アイディアとは「閃き」ではない」まず始めにそう言われた時、私の頭の中は「?」で一杯になった。何故ならば、今まで、アイディア=閃きだと思っていたからである。
そこで、気になったのでアイディア(idea)の意味や語源を英和辞典で調べてみた。英和辞典では、ideaとは(心に描く考え)思いつき、着想(weblio調べ)という意味で掲載されていた。ほらっ間違ってないじゃないか!
しかし、後に知ったのは私のこの認識は「プロ」としては、100点満点だとしたら、50点の答えでしかないのだ。

この場合、「プロ」というのは放送作家としてのプロという意味である。まず始めに、放送作家という仕事を簡単に説明すると、テレビやラジオ番組の制作において、「企画」という仕事を専門的に扱う作家である。私は放送作家というジャンルにおいて、一番重要な物とは、「センス」や「閃き」だと思っていた。「センス」や「閃き」は重要だが、一番重要なファクターではない。プロの放送作家とは、クライアント(お客様)であるテレビ番組やラジオ番組の為にお客様が求めている物以上の物を常に制作し続けなければならないうえに、仮にその企画が素晴らしいアイディアが練り込まれていても80%の企画案ではプロとして失格という事だ。プロの放送作家とは、与えられた大量の仕事を締め切りまでに素晴らしいアイディアを盛り込みつつも、毎回100%の企画書を作り上げなければならない。その為、大量の企画制作を閃きに頼っていては締め切りまでには間に合わないうえにパンクしてしまうのである。

そこで企画を量産する為に重要になってくるのが、「アングル」という考え方である。「アングル」とは視点。例えば、「円錐」は上から見たら円であるが、横から見たら三角になる。同じモノも違うアングル(視点)で見る事によって、違うモノになるのである。このアングルというツールをもしも放送作家が企画制作で使ったらどうなるか、説明していこう。

三ヶ月前に始まった番組Aでは、毎週、同じテーマを扱いそのテーマに沿った、企画を作ることが義務づけられている。しかし、ネタも「閃き」で作っていたら三ヶ月も経つと切れてくる。そこで、有効になってくるのが、「アングル」というツール。以前使った企画を様々なアングル(視点)から見ることによって、企画を量産するのである。

例えば、シンデレラという皆が知っているお伽噺。もしも、そのシンデレラを王子様もしくは魔法使いの視点で考えれば、その時点で新しいストーリーを二つ作ることが出来る。アングルは別にキャラクターを変更する以外にも方法はある。例えば、「シンデレラの行動が全て計算づくだったら?」「実は、魔法使いが悪人だったら」、面白いストーリーなのかもしれない。
このように、シンデレラという一つの「企画」をとってもバリエーション溢れる企画を作る事が出来る。

しかし、企画を別のアングルで考えるだけでは不十分。これだけでは、オリジナルとは言えず「パクり」として認識されてしまうので、企画を磨き上げ、アレンジを施し、オリジナルまでに発展させてなければならない。
(アングルのプロセス:パクり→アングル→アレンジ→オリジナル)
以上のプロセスを踏むことにより、大量の面白い企画を100%の形で作ることが出来るのである。

「アイディアとは「閃き」ではない。」皆さんはこの言葉をご理解頂けたであろうか?閃きだけでは壁にぶつかってしまう。しかし、人間は壁を乗り越えるために工夫が出来る生き物である。アイディアの枯渇という壁にぶつかった時、
皆さん、「アングルという考え方」を使ってみてはどうだろうか?